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使い捨てをやめる展示会ブース|廃棄を減らしながら、毎回違うブースをつくる方法

目次

展示会の最終日、閉場のアナウンスが流れたあとの会場を見たことがあるでしょうか。数日前まで各社が趣向を凝らしていたブースが次々と解体され、壁も什器も台車に積まれて運び出されていきます。その多くは、次にどこかで使われることなく処分されます。

「毎回作って、毎回捨てている」。この違和感を持ちながら、それでも「再利用にすると毎回同じ見た目になってしまう」という理由で、従来のやり方を続けている出展企業は少なくありません。

この記事では、その二つが本当にどちらか一方しか選べないものなのかを、あらためて考えてみます。

会期が終わると、ブースはどこへ行くのか

展示会のブースは、そもそも数日間しか使わないことを前提に作られています。木工造作で組まれた壁や什器は、会場のサイズと小間の形に合わせて設計されているため、次の展示会でそのまま使えることはほとんどありません。会場によっては撤去時間も厳しく制限されており、丁寧に分解して持ち帰るより、その場で解体して処分する方が現実的だという事情もあります。

結果として、数日間のために作られたものが、数時間で廃棄物になる。展示会という仕組みが構造的に抱えている課題です。

近年は主催者側でも資材の再利用を推奨する動きが出ており、出展企業のサステナビリティ方針との整合を問われる場面も増えてきました。「見た目の良いブース」だけでなく、「その後どうなるブースなのか」まで説明を求められる時代になりつつあります。

「廃棄を減らす」と「毎回違う見た目にする」は両立しないのか

廃棄を減らそうとすると、必ず出てくるのが次の懸念です。

「同じブースを使い回したら、毎回同じ会社に見えてしまう。新製品を出したのに、去年と変わらない見た目では意味がない。」

もっともな心配です。ただしこの懸念は、「ブースを再利用する=ブース一式をそのまま持ち込む」という前提の上に立っています。

ここを一度分解してみます。

ブースは「構造」と「見た目」でできている

ブースを構成する要素は、大きく二つに分けられます。

  • 構造:壁を立て、面を支え、什器を成り立たせている骨組み。小間サイズが同じなら、毎回変える必要はありません
  • 見た目:来場者が目にするグラフィック、メッセージ、写真。ここは出展のたびに変えたい部分です

毎回作り替えたいのは後者だけです。にもかかわらず従来の造作では、この二つが一体になっているため、見た目を変えるには構造ごと作り直すしかありませんでした。廃棄が減らせなかった理由も、オリジナリティを諦めるしかなかった理由も、どちらもここにあります。

逆に言えば、構造と見た目を分離できてしまえば、二つの悩みは同時に解けます。廃棄を減らしながら、毎回違うブースをつくる。理屈のうえでは成立します。

問題は、それを現実に成立させる方式が存在するのか、ということです。

その答えが、テンションファブリックです

テンションファブリックは、アルミフレームの溝にグラフィックをプリントした生地の縁を押し込み、テンションをかけて面全体をピンと張る方式です。

ここで決定的なのは、生地がフレームから取り外せるという一点です。

フレームは構造として持ち続け、見た目にあたる生地だけを出展のたびに新しくする。先ほど頭の中で分解した「変えなくていいもの」と「変えたいもの」が、そのまま別々の部材として分かれている——それがテンションファブリックの構造です。どちらかを諦めるしかなかった状況は、この一点で変わります。

テンションファブリックにすると、実際に何が変わるか

会期後に残るもの、捨てるもの

従来の造作では、会期後に壁も什器も処分することになります。この方式では、フレームは分解して持ち帰り、次回そのまま使えます。処分の対象になるのは、訴求内容が変わって使わなくなった生地だけです。会期ごとに発生する廃棄物を、面のグラフィックだけに絞り込めます。

デザインの自由度

むしろ従来より自由になる面があります。生地は大判で一枚に印刷できるため、パネルを並べたときのような継ぎ目の線が入りません。壁一面を写真で埋める、グラデーションを大きく使うといった表現が成立します。「再利用だから地味になる」ではなく、面をまるごとキャンバスとして使える方式です。

また、生地は構造に比べて費用の比重が小さいため、複数パターンを用意して展示会ごとに使い分けるという運用も現実的になります。

保管と搬入

生地は畳んで、フレームは分解して収納できます。倉庫を大きく占有しないため、社内で保管して繰り返し使うという運用が回りやすくなります。搬入出の負担が軽くなるのも、現場担当者にとっては実務的な変化です。

テンションファブリックを選ぶ前に確認しておきたいこと

この方式が万能というわけではありません。検討の際は次の点を確認してください。

  • 保管場所が必要:繰り返し使うという前提が成立するのは、社内または委託先に保管スペースがある場合です
  • 曲面や複雑な造形は苦手:面で見せる構成には向きますが、造り込んだ立体表現は木工造作の方が適しています
  • 初回は構造の費用がかかる:コスト面のメリットが出るのは2回目以降です。単発の出展であれば、レンタルを含めて比較検討してください
  • 防炎対応の確認:展示会場は消防法上の防火対象物にあたるため、布地の装飾には防炎処理された素材が求められるのが一般的です。発注時点で防炎対応品かを確認してください
  • 小間サイズの変動:出展する展示会によって小間サイズが変わる場合は、拡張・組み替えができる構成にしておくと使い回しやすくなります

「変えない部分」を決めることから始まる

使い捨てをやめるというのは、我慢することではありません。毎回変える必要のなかったものを見極めて、そこに投資を集約するという判断です。構造を資産として持ち、見た目は毎回作り直す。そうすると、廃棄は減り、ブースの表情は毎回変わります。

まず確認したいのは、次の出展で本当に変えたいのは何か、ということです。多くの場合、それは壁の作りではなく、そこに載せるメッセージです。

誉PRINTINGでは、繰り返し使えるフレームと、差し替え可能なファブリックグラフィックによる展示会ブースの製作を承っています。次回以降の運用まで含めて、構成をご提案します。

アイドン潤愛
WRITER アイドン潤愛
代表取締役社長
株式会社誉プリンティングは、2009年の設立以来、デザインから印刷、発送までを一貫して提供する印刷会社として成長してきました。展示会ディスプレイや店舗用看板、什器などの製作を手がけ、各部門に専門スタッフを配置し、高品質な製品と提案力を強みとしています。また、環境配慮型製品の開発を通じて、SDGsの推進にも取り組んでいます。